こちらは2歳のミックス猫の女の子です。
8月初旬に体調不良で来院されました。
主な症状は、
①1週間前から食欲が減りだし、ここ数日は全く食べていない
②興奮時などは呼吸が早い時がある
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超音波検査を実施したところ胸部に液体が貯留しているのが見つかりました。そこで局所麻酔下で細めの注射針で刺して検査すると血液様の液体が溜まっていました。(右写真)
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胸部から抜いた液体の一部
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胸水を抜いた後のレントゲン検査では、胸の中の縦隔というところに腫瘍疑いの病変が見つかりました。(右写真の◯で囲んだところが病変部)
血液検査も実施しました。
胸水の細胞検査の結果、「縦隔型リンパ腫」と診断しました。
《猫白血病ウイルスとリンパ腫》
縦隔型リンパ腫は猫白血病ウイルス(FeLV)感染率が高く70〜85%と言われています。
このこもFeLV陽性でした。
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肺はレントゲンでは黒く写りますが、この子は白く写っています(◯で囲んだところが白く写るのが異常)
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《 治療》
抗がん剤治療を開始しました。
抗がん剤投与後の翌日
自力でお水を飲みだし、チュールも食べだしました。呼吸も改善したとのことです。
抗がん剤投与5日目
明らかに元気になってきてるとのこと。食欲も戻り、呼吸状態も正常になったそうです。
その後は抗がん剤を継続中です。
レントゲン検査でも腫瘍が小さくなっています。
(右写真の◯で囲んだところ)
現在は体調も良く、元気いっぱいで食欲もあり調子もいいです。
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◯で囲んだところ.。白く写っていた腫瘍が小さくなっています。上の写真と比較するとわかりやすいですね
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腫瘍の治療は、手術で切除する腫瘍、抗がん剤治療適用の腫瘍、放射線治療が必要な腫瘍など、腫瘍の種類によって異なります。
腫瘍の種類によっては副作用がきついわりに、効果が弱く飼い主様も動物たちもしんどい場合あります。
当院では、動物の負担を最優先に考え、いくつかの治療を提示して、飼い主様と一緒に相談しながらその子にあった最善の治療を決めています。
今回はリンパ腫は抗がん剤治療が非常によく効いてくれる腫瘍ですので、相談して抗がん剤治療を実施しました。来院時には非常に危険な状態でしたが、幸いにも抗がん剤がよく効いてくれて、抗がん剤治療後数日で元気になってくれて、本当によかったです。